◆「働き方」に疑問符―「全人格労働」が増加する社会とは

     19, 2016 15:14
    駅のホームから人が転落したために緊急停止した電車の窓から男が線路に降りて歩きだし10万人以上に影響が出たというニュースが報じられました。

    東京都綾瀬で、今年(2016年)1月のことですからまだ記憶に新しい出来事です。

    私も覚えていました。

    この男性は40代の会社員で「会社で大事な会議があり、遅れられなかった」ということです。

    会社の大事な会議のためにそうまでするとは、おかしな人もいるものだ、位に思っていたのですが、最近ネットで「全人格労働」の記事を読み驚きました。

    この男性をあながち特殊な人とも言い切れないような話だからです。

    ネット上の「日本社会の狂気を凝縮したような話だ」というコメントが表すとおり、仕事に人間らしさを奪われた人は数多くいるというのが現実のようです。

    ●近年のゆがめられた働き方

    過度の効率化、長時間労働、業績へのプレッシャー、あいまいな評価などが働き方をゆがめているといいます。

    ゆがめられた働き方が人間らしい感情を奪い判断を狂わせ一線を越える行動を起こさせてしまうというわけです。

    高度経済成長期にも多くの「企業戦士」がおり、バブル期にも長時間労働は常態化していました。

    当時は今とは違い、頑張れば出世や給料アップが期待できる時代でした。

    そして会社もその努力に報いてくれるという希望が持てたのです。

    しかし今では会社のために全てを犠牲にしても、出世も給料アップも期待できず、常にリストラの不安を抱えストレスと疲労が溜まるだけの働き方が蔓延しているようです。

    ゆがめられた働き方では「夢」も「やりがい」も持つ事はできないでしょう。

    何のために働いているのか、まっとうな働き方とは何なのか、考えさせられます。

    ●「全人格労働」が心も体も蝕んでいく

    業務に労働者の全人生や全人格を投入する働き方を「全人格労働」といいます。

    これは産業医の阿部眞雄さんの著書『快適職場のつくり方』の中で書かれているものです。

    「全人格労働」によりうつ病などに悩む人はますます増えているというのです。

    人間が人間らしく働くことが難しくなっているのは、IT化やグローバリゼーション、ネット社会が求める商品やサービスへの要求による限りない顧客満足度達成などのためと考えられます。

    労働者は十分な評価は得られず給与が増える期待も持てないまま疲弊していく、と述べています。

    サービス残業、休日出勤は当たり前、休めた日は疲れきって布団から出られない。

    人生の一部であるはずの仕事に全てを捧げ身も心も崩壊するということになりかねません。




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